勝てば楽しい°C持ち育てる−武蔵府中・大前監督

武蔵府中リーグ・大前監督

 リトルリーグ世界一 武蔵府中リーグ監督 大前益視さん(54)

 弱小チームといわれた武蔵府中リトルリーグを約7年かけて世界一のチームへと導いた名監督。リーグ14人の個性を発揮させ、8月24日、米・ペンシルベニア州ウイリアムスポートで行われた世界選手権決勝戦で米・フロリダリーグを10−1で破り、「世界一」の座を獲得した。

 「子供たちにプレッシャーを与えずに、勝ちたいという気持ちが自然にわくように工夫した」という。

 本業は大工。17歳の時に上京し、今は約10人の若い衆を抱える大益総建の社長。監督業はボランティアだが、「型にはめず個性を伸ばすことを心がけた。悪ガキだったから、子供たちの痛みはわかる方だ」と笑う。

 中学、高校とバレーボールの選手だった。「子供たちに何かを教えるのは野球の本格的な経験がなくてもできると思う。同じスポーツだし通じるものはある」と話す。技術はコーチが教え、監督は、それを個々の子供にどれだけ反映させていくのか判断するのが仕事という。

 監督を引き受けたのは、チームの総監督だった実兄の前橋喜佐男さん(67)に勧められたのがきっかけ。

 「まず、子供たちとどうしたら楽しく野球ができるか話し合った。きっと勝てば楽しいはず≠ニいう答えが多かったから、じゃあ、勝つにはどうしたらいいのかを子供たちと一緒に考えた」

 これば常勝チームのスタートだった。

 「怒ったりはしない。固定観念を持たずに、できなくて当たり前という思いでやる」のが秘訣とも。

 子供たちが自信を持つことで、勢いとリズムが生まれた。

 全国のリトルリーグのチームは約700。就任の年、年5回の公式試合ほぼすべてで1回戦敗退。2年目に準決勝進出、4年目に全国一とステップを踏み、今年ついに子供たちの夢「世界一」が実現した。

 「子供を育てるのとビルを作る仕事はどこか似ている。土台がしっかりしないといいものはつくれない。その基本をどう伝えていくかが勝負を分ける」 世界連覇へ向け大前監督の土台づくりはすでに始まっている。

園田万里子
 大前 益視(おおまえ・ますみ) 昭和24年12月15日、長野県大町市生まれ。長野県立大町北高校を経て上京後、建築業を営む。平成2年から大益総建社長。平成8年、日本リトルリーグ東京連盟武蔵府中リトルリーグ野球協会監督に。八王子市加住町で妻、長女、長男、ニ男の5人家族。
11月25日 産経新聞東京版より





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